旦那のいっとき働き

もう春がそこまでやって来ましたね。
ご近所さんの垣根の合間からは水仙やパンジー、桜草、クリスマスローズなどが咲ききそい、梅や沈丁花の香りもあたりに漂い、ミモザも金色に輝き始めました。ウオーキングの足並みも軽くなります。
我が家の小さな庭にはいっせいに雑草が芽を出しこれを見過ごしているとあっという間に草ぼうぼうになり苦労するので、暖かい日よりを選んで庭の手入れをしました。
「旦那のいっとき働きが又始まったね。」という親の声が天上から聞こえてくるようです。
旦那の一時働きというのは、普段は家の中で威張ってなにもしない旦那が、ある日突然「そ?れっ」と大掃除などをはじめて、まわりの人間を混乱させることで、私は子どものときよく親からそう言われていました。
植木バサミと草刈鎌、作業着を着て軍手をはめ「そ?れっ」。狭い庭なので見る見るうちにさっぱり。何年も花の咲かない水仙にもやさしく、エビネランやシュンランの蕾をチェック。クリスマスローズの古い葉を取り除き、つぼみを出したヒヤシンス2本、葉っぱばかりのフリージア、やたら長く葉の伸びたムスカリ。みんな自分達を思い出してくれた旦那に安堵の目を向けているようで嬉しい。
椿と柿と金木犀とつつじの小枝も選定。
大型ゴミポリ袋に4つ。
東南西をお屋敷に囲まれた狭い空間。だれも気がつかないお庭の再生。
旦那は独り満足げにほくそ笑む。

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